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美しいドイツの古書 インゼル文庫の小さな図鑑のお話

インゼル文庫 No.503 小さなキノコの本

今日はインゼル文庫について書こうと思います。

いつもこの本のシリーズの独特な風貌に興味津々でした。
インゼル文庫の本の表紙のパターン(まるでヴィンテージファブリックのよう)や、四角い形をしたタイトルのラベル、ヴィヴィッドで美しいイラストなど、魅力いっぱいで好きにならずにはいられません。

ただ、情報を探した時に、インターネットでは意外にもあまり見つからなかったので少し驚きました。
ドイツ語でしか十分な情報が得られなかったのですが、興味深くて面白い話を集めてみました。

インゼル社は、もともと”Die Insel” (The Island)という文学とアート雑誌からスタートした出版社でした。
この雑誌はミュンヘンで1899年から1901年に発行されました。
発行期間はたった二年間と、とても短かった雑誌ですが、とても評判の良い雑誌だったようです。

雑誌のシンボルだったボートのイラストは、のちに現在でも使用されているInsel Verlag(インゼル出版)のシンボルとしても使われています。
面白いことに、このシンボルマークはなんと6種類のバリエーションがあるそうです。
(残念ながら、全てのマークは見つけられませんでしたが、下の右と左のマークが微妙に異なるのが分かりますね。)

右と左のロゴマークは微妙に違います。

Insel-Bücherei (島文庫・島図書館という意味)は1912年にドイツのライプツィッヒで設立されました。
この出版社は、文字だけの本だけではなく、芸術や文学の価値をドイツにより広く伝えることを目的としていました。
忘れられた古い作品と、近代的作家と統合させたり斬新な試みに挑戦したりしました。

インゼル文庫 表紙と背表紙

インゼル社の本はとても特徴があります。
大きさはおよそ日本の文庫本くらいの大きさで、表紙と裏表紙はカラーのパターンが印刷された硬い紙で作られています。

表紙にはラベルがあり、そこには作家の名前、タイトル、そしてシリーズの番号が載っています。
背表紙には、ラベルの内容を省略された内容が入っています。
もともと表紙のラベルは糊で貼付けられていましたが、後にプリントされるようなりました。

インゼル文庫 100番

インゼル文庫の本にはそれぞれシリアルナンバーが振り分けられているのですが、なんとその幾つかの番号は一冊以上の本に使われているのです。
例えば、99番と100番は少なくとも4冊の本に使われています。
そして、その中の幾つかの本は、後に他の番号で再出版されています。

BUC0079-2

インゼルの本は元々文字だけの本でした。
最初のカラーの本は281番の“Das kleine Blumenbuch” (花の小さな本)という本です。
1933年に初版され、58もの美しいイラストが収録されています。

面白いことに、この281番という番号は初めて使われた番号ではなく、二番目に使われたものでした。
オリジナルの281番は、古いドイツの愛の歌の本でした (イラスト無し)。

更に興味深いのは、この花の本の表紙は緑と白のストライプで、かなり地味なつくりをしています。
後に出版されたイラストの本は、本の内容に沿った表紙をしています。
例えば、蝶々や鳥の羽など、本の中のイラストにちなんだ表紙です。 地味な表紙の281番でしたが、本の売上げは大成功し、1986年までに22回再印刷されました。

インゼル文庫のキノコの本

普通、本には出版された年月が印刷されていますが、インゼルの本にはそれがありません。
そのため、いつ印刷されたものなのかを知ることは難しくなっています。

(その後、1950年代後半に出版されてたものには、一部出版年が記載されていることが分かりました。)

インゼル文庫はドイツの歴史の中で様々な危機の中を生き延びてきました。
第二次世界大戦中、幾つかの本が禁止されました。 (終戦後は再版されました。)
1945年、ドイツが東西に別れていた時、Wiesbaden(ヴィースバーデン)という西ドイツ側の町に支店を開きました。

二つの支店は1991年に再び合併し、2010年に再創設されました。
去年の2012年はインゼル社の記念すべき100周年を迎え、新しい本の出版はもちろんのこと、古い本が再版されたりしました。
正確な数を知ることは難しいのですが、これまでに推測でおよそ1800もの本が出版されたと言われています。

インゼル文庫の本は、ユニークで特別な印象を与えます。
ドイツ語が分からなくても、プリント、フォント、そして本の持つ独特な雰囲気は、他の本には無い大きな魅力となっています。
特にイラストの入った図鑑の本は、カラフルでとても質の高い作りをしています。
インゼル文庫ならではの特質の為、人気がとても高く、入手するのが非常に困難となっています。

Frau Vintageでは、継続して入荷をしていますので、インゼル文庫の本を是非欲しい、という方は新商品の更新お知らせメールにご登録くださいね。
(お店のサイトで登録ができます。)

インゼル文庫以外にも、ヴィンテージ古書や刺繍図案、編み物図案などを取り揃えています。
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インゼル文庫には、図鑑以外にも文字だけの本もあります。 どの表紙も本当に美して、ドイツ語が読めなくても、本棚に飾りたくなるような気持ちになってしまいます。 もし文字だけの本も入荷してほしい、という方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせくださいね☆

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